想像して下さい。
有る晴れた日、雲一つない抜けるような空の下、あなたは1人巨大な岩に向かい気に入った課題に打ち込みます。
そして、全てのムーブを解決し、渾身の登りで、岩の上に立ち喜びを噛みしめます。
苦労が報われる瞬間です。ボルダリングジムで課題を落とす喜びとは比較にならないでしょう。
クライミング経験はあるが、まだ岩場に行ったことのないあなた!
是非、岩場にデビューしてみることをお勧めします。
今回はボルダリングに必要な道具についてお話しします。
まさに三種の神器といえる道具。
クライミングシューズ、チョーク&チョークバッグ&ブラシ、ボルダリングマット
(チョーク&チョークバッグ&ブラシは別のものですが、必ず一緒に使うため一つに数えています)
ボルダリングは使用する道具が少なく、比較的低予算で楽しめます。
岩場であれば、ジム料金もかからず、道具さえ購入すれば車のガソリン代程度で済むでしょう。
※岩場によっては岩場の整備保全費用として数百円かかる場所もあります。
・クライミングシューズ
クライミングシューズがなければ登ることができません。
クライミングシューズは足にフィットするように製作してあり、足の指が曲がるほどキツい物を履くのが正解です。
なぜなら、爪の先ほどくぼみや出っ張りに体重を掛けなければならないからです。
クライミングは足で登ると言われるほどシューズは重要です。
上級者は何足もシューズを持っており、シチュエーションごとに使い分けます。
初心者は実績のあるオールラウンドタイプのシューズが一足あればよいですが、選定にはショップ店員にアドバイスを貰いながら選ぶのが良いと思います。
また、クライミングシューズは消耗品でボルダリングにのめり込むと1シーズンで穴が空くときも。
穴が空いた場合は先端のゴムを張り替えてくれるショップもあります。リソールといいます。
シューズは一足1.5万~2.5万と高価ななのでゴムを張り替えて大事に使います。
普通の靴のゴムと違い、F1と同素材で強力なグリップがあります。(うわさで聞いた話です)
初心者から上級者までお勧めです。
足入れ性もよく、比較的柔らかいシューズです。
ルーフじゃなければ強傾斜でもいけるんじゃないでしょうか。
広告を貼っといてなんですが、初めてのシューズ購入は必ずショップで現物合わせをした方が良いです。
ロッククライミング経験のある店員にアドバイスを貰ってください。
・チョーク
指に滑り止めとしてつけます。炭酸マグネシウムから出来ています。体操選手が使う滑り止めと同じ物です。
液体チョークの中にはロジン(松ヤニ)が入った物もあります。
しかし松ヤニが入っていると岩にこびりついてチョークが落ちにくくなるので、使用は最小限に。
人間の指は物を握ると汗が出るように出来ています。そのにじみ出た汗で手が滑るのです。
岩はガラス質なので、指先に強い面圧を掛けるとツルッと滑ります。
クライミングジムでも同じ現象が起こります。
人によっては「汁手」と呼ばれる手汗を大量にかく体質の人がいて、チョークの選定には気を遣っているようです。
使って見ると分かりますが、フリクションが大きく変わってきます。
粉タイプ、液体タイプ、固形タイプがあります。併用する人もいます。
液体タイプのなかにはスプレータイプも存在します。
私の経験値から言わせてもらうと、手汗の少ない人は粒子の細かいチョーク、手汗の多い人は粒子の粗いチョークが合うのではないかと思っています。
粒子が細かいチョーク → 手汗の少ない人
粒子の粗いチョーク → 手汗の多い人
チョークは高い物ではなく、大抵1000円以内で購入することができますので、色々試してみて自分に合ったものをみつけてください。
・チョークバック
チョークを入れる袋です。別になくても出来ますが、普通はバッグに入れて使用します。
タイプが2種類有り、腰につけるタイプと、地面において使うタイプがあります。
腰につけるタイプはロープを使ったクライミングで良く使用します。
腰につけたバッグに手をいれて、登りながらチョークアップ(チョークを手につけること)していきます。
置き型タイプはボルダリングで使用します。腰につけるタイプよりも大容量です。
もちろんボルダラー(ボルダリングする人)でも腰タイプを使う人もいます。
ラスポルティバ ボルダーチョークバック
ロッククライミングで外せないメーカー、ラスポルティバのボルダーチョークバックです。
ポケットには小物を入れておけます。(爪切りとか、テーピングとか)
サイドにはブラシホルダーが付いています。
口が広く、両手が入るのでしっかりチョークをつけることが出来ます。しかも大容量。
バッグの中にはチョークボールをいくつか入れて使用します。
粉チョークをそのまま入れて使用する人もいます。
ジムでは粉チョークをそのまま使用するのは禁止しているところが多いと思います。
あと、岩場あるあるで傾斜がキツい場所だとバッグが転がって取りに行くハメになることが良く有ります。
そのときに粉チョークそのままだと地面にぶちまけて、現場を汚すハメになったり。
チョークボールは購入することも出来ますが、簡単なので自分で作る人もいます。
置き型タイプはボルダリングに必須と言っててもよいくらい便利です。是非購入することをおすすめします。
バッグは消耗品ではないので、長い間使用することができます。
MAMMUT Basic Chalk Bag / カラー 3271
高品質な製品を作るメーカー「マムート」のチョークバッグです。
個人的にマムートのロゴマークが好きです。
腰巻きタイプは必ずチョークボールを入れて使用します。
粉チョークそのままだと激しいムーブでこぼれてしまいますからね。
一つは持っておいた方が良いです。多い手数の課題に重宝します。
ボルダリングは比較的手数が少ないのですが、中には10手以上になるような長物課題も。
機能としてはどのメーカーもさほど違いはありません。
ただ、口の大きさや深さに違いがあるので、バックに手が入れやすいかどうかなどがポイントになります。
あとはデザインで決めます。
・ブラシ
帰るときに岩に付いたチョークを落とすときに使用します。
これはクライミングのマナーです。
また、登っている最中でもフリクションを少しでもあげるため岩に付きすぎたチョークや手汗を落とすのにも使用します。
ジムでもホールドを磨くのに使用します。登っていると手汗やチョークでホールドがヌメリ出します。
人間様の歯を磨く歯ブラシがよく使われます。
コスパが良いし、ブラシも使用している内に意外と減ってきます。あと良く落としたり。。。
金属ブラシだと岩が削れるので、使用しない。ナイロンまたは豚毛もよい。
もちろん、専用品もあります。歯ブラシより使いやすいです。
ブラシが大きく、使いやすいです。ラウンドしているのでスローパーも磨きやすいです。
・ボルダリングマット(クラッシュパッド)
岩場でのみ使用します。ジム専(ジムしか行かない人)の人は必要ありません。
良くあるタイプは1m角程度の厚み100mm程度です。
2つに折りたたんで背中に背負えるようになっています。
強者だと1人で2枚担いで山道を歩く人もいます。
よく間に荷物を挟んで運んだりします。
asanaのマットは高価ですが、厚みがあって非常に安心感があります。厚さ120mm
でも、一番重要なのは危険な姿勢で落ちないように心に余裕を持って登ること、無茶をしないことです。
1人で行かないのも有効な手段です。
2人以上であれば、ある程度の高度になったらスポットを御願いすることも出来ます。
同じ岩に知らない人がいる場合、何も言わなくてもスポットをやってくれる場合もあります。
あと、「ガンバ!」応援してくれる人もいます。というか大抵してくれます。
これ最初は非常に恥ずかしいです。でも言いましょう「ガンバ」って。
・その他有ると便利な物
・ザック(クライミングバック):小物類を入れるためのバッグ
・テーピング:指をパキったとき、ぱっくり傷が開いたときの応急処置。もちろん正規のテーピング使用法も
・ブルーシート:地面がしけっているとき濡れているとき、マットの下に引くとマットが濡れません。あとはござ代わりとか。マットに挟んで運搬する。
・足置きマット:スタート地点にひいたり、ござ代わりだったり。マットに挟んで運搬する。
・バンドエイド:足を擦りむいたり、小傷を作ったりしたとき。そのうち小傷くらいでは何とも思わなくなりますが
・血止め薬(メモAなど):あると便利かも
・靴拭きタオル:靴を拭くタオル
・用語集
チョークボール:布にチョーク詰めて丸めて口を閉じたもの
長物課題: スタートからゴールまでの手数が多い課題。厳密に何手以上が長物とはきまっていない。
ジムでは持久力の向上目的で長物を行う。
例:この長物は50手あるよ。えーまじー!
ヌメル: ホールドが手汗やチョークでフリクション(摩擦)が落ちることをいう。ホールドをブラシで磨くと回復する
スポット: 登っている人が岩から落下するときに足から着地できるように腰を持って誘導する
ガンバ:ロッククライミング独特の応援言葉。これから登ろうとするとき、もう少しで岩の上に立てそうなとき、核心部などで掛けられる
核心:課題で一番難しいホールド、ムーブ
エンクラ:エンジョイクライミングの略。本気で登らないときのクライミング
例:今日はエンクラモードでいきますか~
スローパー:ラウンドしたホールド。パーミングで押さえることが多い
パーミング:手の平全体の摩擦でホールドを押さえる保持(ホールディング)、主に肩の筋肉を使う